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暑くて、厚くて、熱い。 容赦なく降り注ぐ砂漠の太陽は、容赦なく廃熱を阻害し、揺らめく分厚い蜃気楼のせいで体感500m先はわからない。そのうえデザートイエローのシートで覆われた『彼女』の装甲板は際限なく過熱され今や、手袋無しで触ることすら億劫になろうかというところである。 「あつぃ~です」 シートの下の装甲版のさらに下、彼女はけだるげに愛機に腰掛けていた。 周囲には遥かの昔に放棄されたのであろう廃ビル群が立ち並び大きな日陰も目立つのだが彼女はあえてその場所を選んだのだ。 周囲に遮蔽物がなく、前方に軽くビルの残骸や、土を盛るだけで塹壕となり、また……背後から急襲される可能性の少ないバトルフィールドの端。 そこはまさに格好のアンブッシュポイント、いや、むしろ絶好の砲兵陣地といえるだろう。 彼女は砲台型フォートフラッグのスチール・ブリゲード、愛称は「キャロル」。武装神姫である。 通称『一人旅団のキャロル』 とはいえ、これは彼女が自分に付けられた名前の意味を理解した際に皮肉を込めて名乗っているだけで、知名度もなにもない。 キャロルという愛称も彼女がゴネて付けさせたもので、英語圏の苗字であるキャロルよりはむしろ米陸軍第18砲兵団の本拠地であるところのノースカロライナの意味だと彼女が理解したのもつい最近。 「いくらフォートブラックだっていっても……ふんっ! いいんですから、ジョーとかアーノルドとかつけられなかっただけでも良しとしてあげ……あぁっ、もうっ!あのミリオタぁっ! 少なくともジェーンとかいろいろあったでしょう!? もうっもうっ! リセットせずに改名できたらぁっ!!」 ガンッと力任せにレストパットの装甲版を殴りつけ、殴りつけた拳の痛みに悶絶。なんだかよけいになさけない気分になったのか、大きくため息をついた。 そのとき、ヘルメットの出力部分から彼女の聞き知った声が流れた。 「はいはーい、こちらブラボーワン、感度は良好ですよ?」 その直後、キャロルはヘルメットの上から片耳を押さえて顔をしかめた。 「了解しました! わかってます! 小さな声で送信音量を限界まで上げて怒るのやめてください!」 いいつつ左手で流れるようにコンソールを弄り、愛機の獲物を「目標」に定める。 「試射時との気象条件の変化なしっと、射角よし、準備よし! デンジャークロースですよ、注意してください!」 細い指がポンっ、と踊るようにコンソールを弾いた次の瞬間、バンッと今までの停滞を打ち払うかのような爆音が響き、砲身が一瞬大きく後退する。 「発射しました、弾着まで2、1、弾着……今。 砲撃評価願います」 遠くの方から遠雷のように爆発音が響き、続けてブゥーンという相棒の発生させている機械音がここからでも聞こえる。 「Rog、マップグリッド、ヤンキー-ワン-シックス-ゼロ ホテル-ツー-セブン-ファイブ エックスレイ」 再びコンソールの上を指が踊り、にやりと笑う。 「ふふっ、デルタロメオエネミー(ディアエネミー)です」 バンッ……バンッ……バンッ 続けて三発、続く遠雷に先ほどのブゥーンという機械音と何かが炸裂する音。 「フィニッシュパターンですねー、敵さんも気の毒です。アリスちゃんトリガーハッピーですから 動けなくなってもひとマガジン撃ちつくすんですよね~ っと、こちらはどうでしょう? これだけ派手にやれば……」 そう呟くとキャロルはヘルメットにマウントされたヘッドマウントディスプレイを下す。 「ビンゴですっ! ふふんっ、バカがかかりましたね?」 相棒がオーバーキル気味の制圧射撃を加えている一方、敵方の相棒が彼女を探している。 もっともさっきから派手に発砲音を響かせているので、よほどのトンマでもない限り彼女の居場所は見つけるだろう。 即席のカモフラージュでは突き出した……その黒光りする砲身はフォートブラックの純正品ではない、海外メーカー製というか、彼女のマスターがアメリカのユナイテッド・ディフェンスとの知り合い(どうせ海外モノのFPS友達に違いない)から譲り受けたという1.55mm榴弾砲。 流石に榴弾砲すべてをカモフラージュシートで覆うわけには行かないので、どうしても砲身が目立つのだ。 そんな、図体だけ大きく、更に自ら周りを埋めてしまっている為身動きさえ取れない一見完全に無防備な砲兵陣地であったが……接近戦で一気に片をつけようとしていたのであろうストラーフ型の神姫が、陣地までたどり着くことはなかった。 「随伴歩兵もいない砲兵陣地付近が無防備なわけないじゃないですか。 州兵だってもう少し警戒してますよ?」 キャロルは右手に握ったスイッチ。 すなわち外周部に設置された神姫用の指向性爆弾の起爆スイッチを投げ捨て、やれやれと肩をすくめて見せた。 ≪WIN≫ TOP
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鋼の心 ~Eisen Herz~ 「犬子さんの土下座ライフ」特別編 -遠征編- ※土下座さま/著 ネタバレ解禁につきあとがき差し替え。 「ここが天海神姫センターですか」 「はい、リアルバトルオンリーの容赦なき戦場で、ツワモノどもが切磋琢磨する修羅の国です」 「うーん、確かに様々な上級者の方の胸を借りることは出来そうですが……正直不安ですねぇ」 「大丈夫ですよ! 私はLPの豊富さには定評のあるハウリンタイプで、しかも今までの戦績は全戦全損敗北なためその成長もハンパなく、打たれ強さには自信がありますから!」 「冷静になると、あまり威張れた話ではありませんねぇ」 「うう、お恥ずかしい限りです……ですが! 今日ここで修練を積むことで、きっと明日は新しい自分に変わっていけるものと信じています!」 「そうですか……でしたら僕はもう何も言いません。全力でサポートしますから、頑張って来てください!」 「はい!」 「ネメシスだー! ネメシスが出たぞー!」 「マジかー!」 「ジーザス!」 「ま、待ってくれ! 中に、中にまだ俺の種子が……!」 「もう手遅れだ、諦めろ!」 「そ、そんな……種子、種子ぉぉぉぉぉ!」 「こっちには化け猫が出たぞー!」 「オーマイガッ!」 「俺、このバトル終わったら猫子にコタツクレイドル買ってやるって約束してたんだ……」 「くそう、やってやる、やってやるぞ!」 「すまない兎子……! 勝ってこいなんて言って、俺が悪かった! 俺が悪かったから…… どうか無事に、無事に戻ってきてくれ、たのむ……!」 「曲射が、曲射がどんなに逃げても追いかけてきて……物影に隠れても平気で狙ってきて…… いやあああああああああああああ!!」 「落ち着くんだ鳥子! もうバトルは終わったんだ、終わったんだ!」 「マスター、そっち大丈夫? トラップない? トラップないよね? あ! 今私の後ろでトラップ仕掛けられたかも?! マスターはそっち見ててね?! 絶対だよ?! 絶対目を離しちゃダメだからね? 目を話したらその隙にトラップで囲まれるんだから……!」 「いやだから黒子、バトルはもう終わっってるって」 「こっち向いちゃダメー!! トラップしかけられちゃったよ、囲まれた、囲まれちゃったよどーすんのよマスター?!」 「くそ、今日はなんて日だ……!」 「おい! こっちじゃポン刀持ったアーンヴァルとやたら素早いサイフォスが狩り物競争してるぞ?!」 「……中の奴らの冥福を祈ろう」 「勝手に殺すな?!」 『No3エリアの戦闘が終了しました』 「丑子! 大丈夫か丑子?!」 「ま、ますたぁ……わたし、ますたぁの武装神姫になれて……幸せでした……がくっ」 「丑子ーーーーーーーーーーーー!!」 「あれ……? なにも見えないよ……何も聞こえないよ……マスター、どこですか、マスター……?」 「ここだ……俺はここにいるぞ……よく頑張ったな、もういい、もういいんだ、ゆっくり休むんだ……」 「ご主人様ー……パインサラダ作る約束、守れなくてごめんなさい……」 「そんなこと気にするな! そんなものいつでもまた作れるじゃないか!」 『予約ナンバー121~132の方は、対戦スペースへお入りください』 「いやああああああああああ!! もういやあああああああああああ!!」 「いかせない、いかせないぞ俺の騎士子は?!」 「あ、俺いま急用ができたわ。帰ろっと」 「ふ、震えてなんていませんよ? これは武者震いですったら」 「あ、マスターなんか前の人が次々帰っていきますよー♪ 得しちゃいましたね♪」 「バカ! 俺たちも帰るぞ!」 「…………………………」 「…………………………」 「……帰りましょうか?」 「はい♪」 遠征編――完! 鋼の心 ~Eisen Herz~へ戻る 犬子さんの土下座ライフ。へ進む はい。と言う訳でネタバレのお時間です♪ ALCの作と見せつつ、実は土下座さまの作品だったりする本作。 果たして何割ほどのマスターさんが気づかれたのでしょうか? まあ、文体がぜんぜん違うのでもろばれだったような気もいたしますが…。 ALCに暖かなイメージのSSは無理だ(泣)。 かねてよりの告知どおり、一週間ほど経ったので驚愕の事実を公表するにいたった訳であります。 ご意見、ご感想、愛の告白、その他諸々…。 土下座さまへどうぞ。 ちなみにALCはあとがきを書いただけで御座います。 何にもしてない楽ちん楽ちん。 おまけに本文の修正まで土下座さまにやって頂いたとあっては…。 さて、どんな恩返しをいたしましょうかね?
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戻る トップへ #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (X01HappyNewYear.jpg) 「新年、明けましておめでとう。宗太、パーシ」 「同じく、明けましておめでとう。お二人」 糞寒い冬の朝。俺はとある駅の前で加奈美とシルフィから新年の挨拶を受けていた。 「あけおめぇ、二人ともぉ。その振袖、よぉく似合ってるわぁ」 俺の胸ポケットでパーシが言った。確かにパーシの言う通り、二人は俗に言う振袖姿だ。 加奈美はピンク色の花柄振袖。髪も何時もみたいにストレートじゃなくて、ちゃんと結わえてある。化粧でもしているのか、振袖のせいか何時もと違って大人ぽく見えてしまう。 シルフィも加奈美とお揃いの振袖を着て、加奈美の肩に座っている。しかも髪の毛は何時ものツインテールじゃなくて、簪を付けてポニーテールぽくしてる。その凛々しい表情は振袖の魅力を何倍にも引き出している。 今がこんなんじゃなければ、加奈美の姿は目の保養になったろうしこの初詣もデート気分で楽しめただろう。 「バカ宗太ぁ、綺麗の一言でも言ったらどうよぉ?」 「……加奈美」 「なに?」 「今日が何日か言ってみろ」 「一月四日よ」 加奈美はにこにこしながら言った。まるで物事の正否なんて関係無いとでも言うように。 「初詣っつーのはよ、普通元旦辺りにいかねぇか?」 「私も主にそう進言したのだが……」 と、シルフィは言っているけど顔は満更でも無さそう。てゆーかすげー嬉しそうだから説得力も何も無い。振袖着れたのがそんなに嬉しいんか。 「別にぃ初詣にいつ行こうと自由じゃなぁい?」 「うっせー阿呆。別に初詣自体に文句はねーよ」 「では宗太殿、何が不満なのだ?」 「……とりあえず、眠ぃ」 何を隠そう、俺はついさっきまでバイトをやっていた。しかも徹夜で。 昨日の夕方六時から今朝六時までずっと働き詰めだった。夜勤に行くことは加奈美にメールで言って置いた。今朝もバイトが終わったときに加奈美にはこれから寝るから家来ても無駄だって、そう連絡した。なのに。 「加奈美、お前はあのメール見てなんでこうなるんだ」 「押すなよ、絶対押すなよ! みたいな?」 加奈美の一世代古いネタに頭痛がしてくるけど、今はもっと頭痛の原因がある。 「……それと後一つ」 「なにかしら?」 「何で秋葉原なんだよ」 「この辺りはフツーの町だな……」 俺と加奈美とシルフィと阿呆は、秋葉原のメインストリートから二つ三つ奥に行った所謂裏路地を歩いていた。 「電気街とは月と鼈よねぇ」 「いや……電気街が異常過ぎるのではないか?」 「そうかしら? 私はああいうの好きよ、活気があって」 「……」 「馬鹿宗太ぁ、なんか言いたそうねぇ?」 なんつーか。あれだ。 俺も少しくらいまともな恰好して来た方が良かったんかねぇ。 振袖の加奈美とシルフィに対して俺はジーパンとダウンジャケットだし、パーシに至っては素体そのままだ。 そんな俺達と加奈美達が並んで歩いているのは端から見たら結構奇妙な光景じゃねーのかなぁ。 「なぁ、加奈美」 「なに、宗太?」 「……どこの神社行くんだ?」 「あら、言って無かったかしら?」 「……主よ、ただ神社に行くとしか言っていなかったぞ」 「そうだったかしら?」 「加奈美ったらぁ、いつになくぽややんねぇ」 「着慣れない物着てるからかしらね」 「本当にそれだけぇ?」 「さぁ、どうかしら?」 「……楽しんでるところわりーいんだが、俺の話覚えてるか」 「なんだったけぇ」 「なんだったかしら?」 相変わらず、マイペースと言うか何て言うか、自由な連中だよ。 そんな俺に残された最後の良心はシルフィだけだ。 「シルフィ、どこの神社かわかるか……」 「……」 「シルフィ?」 「……」 やべぇ、返事が無ぇ。ていうかさっきから反応が少し可笑しいと思ってたら、振袖の袖の部分を嬉しそうに眺めてみたり、帯を触ってみたり、簪いじってみたりしてる。俺の言葉には反応すらしない程に嬉しいんかい。 「あ、加奈美ぃ。あの神社じゃなぁい?」 「あら本当」 二人の視線の先に目を向ければ、そこにはこじんまりとした神社が見えた。 まだ少し距離があるから細かな所は解らないけど、公園みたいなのもある。 「喋ってる内に着いちゃったわねぇ……シルフィ、着いたわよぉ」 「……ああ、了解だ……」 シルフィはそう言ってるけど、視線は神社を見ていない。てゆーか俺の声は聞こえなくてもパーシの声は聞こえるんかい。 「で、なんであの神社選んだんだ」 すこーしブルーな気持ちになりながら、俺は加奈美に聞いた。 「あら、言って無かったかしら?」 「……加奈美、その台詞二回目だぞ」 「そうだったかしら?」 ……ダメだ。今日の加奈美はいつも以上にペースを乱される。振袖ってのは女をこうも変えてしまうのか。 「おい阿呆」 「なによ馬鹿」 「なんであの神社なんだよ」 「ふぅ……まったく馬鹿は人に物聞く態度も分からないのねぇ」 何時もなら導火線に火が付く所だが、今日は眠すぎてそんな気も起らねぇ。 「まぁ、今日は正月明けって事も踏まえてぇ許してあげるわぁ。一度しか言わないからよぉく聞きなさいよぉ?」 「やっぱ良いわ」 「なんでよぉ」 「着いちまったし」 加奈美とパーシに話を振ってる間に、俺達は神社の鳥居の下に着いていた。 とりあえず、ぐるりと周囲を見渡してみる。 まぁとりあえず頭上にある鳥居。正面にある参道の先に拝殿と賽銭箱。参道の脇にある手水舎。所々にあるでっかい木。公園みたいなのもあった。 普段から神社とかあんま来ない俺からしたら、何と言うか、なんで加奈美がここに来たがるか分からない。そんな普通な神社だと思う。 ただ、この時期なのに落ち葉とかはあんま落ちてないし、ゴミみたのも見当たらない。規模でいえば小さな神社なんだろうけど、その分なのか、手が行き届いてるような気がする。 どっかのでっかい神社みたいに入るだけで疲れそうな神社とは違う、安心できる。よくわかんねぇけど、そんな風に俺は感じた。 「馬鹿宗太ぁ、加奈美達先に行ってるわよぉ!」 「おう」 気付けば加奈美達は手水舎で手をすすいでいた。 石で出来た水盤には見るからに冷たそうな水が溜まっていて、それで手を洗ってる加奈美を見ているだけで寒くなる。 「マメだな」 「あら、これは参拝者のマナーよ。ちゃんと宗太もやらなきゃダメよ?」 「……マジで?」 「マジで」 加奈美はそう言うと、水を手で掬って口に入れた。 それは俺に同じ事をやれと言外に要求しているのが良く分かる。 仕方なく柄杓で水を掬って、左手にかけた。 「……つめてぇ」 「泣き言言わなぁい」 一月の水は阿呆みたいに冷たい。まるで針で刺されてるみたいな痛みを感じる。眠気が一気に覚めるくらいに。 だらだらやっても辛いだけだから一気に右手に水掛けて、口もすすいだ。 「あー……つめてぇ」 「はい、ハンカチ」 ハンカチで手を拭いたところで、冷たさは変わらない。俺はハンカチを加奈美に返してポケットに手を突っ込んだ。 「遅いわよぉ、馬鹿」 「うるせー」 パーシの小言に相槌を打ちつつ、参道に戻って拝殿へと向かう。 加奈美は一歩遅れて付いて来ている。 「主よ、人が少ないな……」 意識が振袖から離れたのか、シルフィがようやく自発的に言葉を発した。 「三が日は過ぎたからな。今更初詣来るのは俺達くらいだろ」 拝殿までの道のりはそんなに無い。一言二言交わせば直ぐに付いてしまう。現に俺は賽銭箱の前に居る。 「宗太ぁ、お金ぇ」 「ほらよ」 悴む手を奮い立たせて財布から一円玉を取り出して、パーシに渡した。 「……馬鹿宗太ぁ」 凄まじい敵意を感じるが、そんなもんスルーだ。俺も同じく一円玉を取り出して賽銭箱へと投げ入れる。 目を瞑って手を合わせて。とりあえず、家内安全辺りを祈っておくか。それとも学業成就か。 色々考えていると、ちゃりんちゃりんちゃりんと賽銭を投げ入れる音が三連続で鳴った。 それに続いて、ぱんぱんと手を二回叩く音。 瞑っていた目を開ければ、瞳を閉じて何か真剣に祈っている加奈美の姿が見えた。 俺はとりあえず、がらんがらんと鈴を鳴らした。 「宗太ぁ、私の分も鈴鳴らしなさいよぉ」 阿呆に言われるまま俺は連続でがらんがらんと鈴を鳴らしてしまった。 「……何お祈りしたんだ?」 とりあえず、何と無く手持無沙汰だったから、パーシに話を振ってみた。 「だぁれがあんたなんかに教えるのよぉ」 まぁ、そういう返事は想定の範囲内だ。はなからまともな返事が返ってくるとは思っていない。ただの暇つぶしだ。だから阿呆に何言われようと全く気にならねぇ。 その時、丁度がらんがらん、がらんがらんと鈴が連続で鳴った。言わずもがな、加奈美とシルフィのが終わった音だ。 「ねぇ加奈美、シルフィ。何お祈りしたのぉ?」 音が鳴り終わるやいなや、パーシは開口一番そう言った。 「私は……とりあえず家内安全よ」 ウソだな。あの間は加奈美がウソつくときの癖だ。 本当は何を神頼みしたかは知らねーけど、碌でも無い事は確かだろう。 「シルフィはぁ?」 「私は皆の健康だ」 たぶん、シルフィは本当だろう。 なんとなくだけど、そんな気がする。 「加奈美、用はすんだか?」 神社に来てやる事はもう荒方やってしまった。加奈美が何故この神社に来たがったかは俺には解らない。 確かにここは良い所だが、メールで俺を叩き起す必要は無かったんじゃないか。 「ふふ、お楽しみはこれからよ、宗太?」 と、加奈美は不敵に笑うと社務所の方に歩いて行った。 阿呆のパーシを見たら何故かしてやったりな顔されて、シルフィを見たらまだ振袖を嬉しそうに眺めてた。 そんな俺に出来る事は冷えた両手を温めながら加奈美に付いて行く事だけだ。 「すいませーん」 社務所についた加奈美は少し大きな声でそう言った。社務所にはどこの神社にもあるようにお守りやら破魔矢やらが置いてある。ただ、人だけが居なかった。 そんな事をぼんやりと考えていると、少し遠くから声がした。 「はい、唯今参ります!」 人の声にしたら少し奇妙に感じる声。なんというか、発信源が遠いような、近いような。そんな感じだ。 加奈美もパーシも俺の事を面白そうに見るだけで、何にも言おうとしないし。 「お待たせしました」 次の瞬間、かなり近い場所から声がした。 その音源を探る様に辺りを見回してみても、見る限り人はいない。 「宗太、そこよ」 加奈美の少し下向きな視線を追えば、そこには立派な巫女さんが居た。 白子袖に緋袴姿。どっからどう見ても完璧に巫女。ただ一つ、その姿形が良く見慣れた存在である以外は。 「へぇ……神姫の巫女さんか」 「はい、結と申します。この神社の巫女を任されております」 俺は思わず嘆息した。その巫女さん神姫―――結はハウリンタイプの武装神姫だ。 それが巫女装束に身を包んで神社の巫女をやっているのだ。 俺は純粋にハウリンと巫女との融和性に驚くしかなかった。 「結さん。御神籤を引きたいのだけれど」 「はい、少々お待ち下さい」 結の受け応え、そして動作はどうみても巫女そのものだ。 彼女がこの神社の巫女を任されているのは、本当の意味で任されているのだろう。 ただ、武装神姫の結が人間用の御神籤箱を持ち出した時は少し危なっかしいと思ったりした。 「どうぞ」 「ありがとう」 加奈美は御神籤箱を受け取ると、からからと振った。 「私は……3番。はい、宗太」 「おう」 加奈美に御神籤箱を渡されて分かったが、この御神籤箱はかなり軽い。たぶん、結のオーナー辺りが彼女用に作ったのだろう。 片手で軽く御神籤箱を振り、出てきた棒の番号を読み上げた。 「俺は1番だ」 御神籤箱をパーシに渡してから、結から御神籤を貰った。 「はい、こちらです」 小さく折りたたまれた御神籤をさっそく開こうとしたら。 「宗太ぁ、皆で一気に開いた方が面白いでしょぉ……私は16番ねぇ」 パーシから御神籤箱をひったくり、シルフィに渡す。シルフィもそろそろ平常心に戻っているらしく、普通に御神籤箱を受け取ってくれた。 「……私は4番だ」 これで、全員に御神籤が行き渡った事になる。 「んじゃ、早速」 俺は小さく折りたたまれた御神籤を開いた。 開いて、かなりブルーになった。 「あら、吉だったわ」 「主……小吉だ……」 「ラッキぃ、私は大吉よぉ」 お前らは良いよなぁ……。 「宗太のはぁ……と……凶?」 「あら」 パーシの言うように、俺の御神籤にはでっかく凶の字が書かれていた。 御神籤で一年の全てが決まるとは言わないが、一年の初めにこんなんだとどうしてもテンションがブルーになる。 「御神籤というものは運勢よりも、書かれている内容をしっかりと心に留めて、よりよい運勢になっていくように努力していいくものなのですよ」 結が口を開いた。 それは俺を慰めているのとは違う、励ましているのとも違う、何とも不思議な声音だった。 「内容、ねぇ……」 禍々しい凶の字に向けていた意識を、下の方に向けて見た。 悦事:なし 住居:移らぬ方よし 旅行:盗難に遭うから止めよ 儲事:先得するも後大損す 待人:来らず 失物:でがたし 試験:落ちてもくよくよするな 病気:死に至る病である 事業:友人の裏切りに注意 産児:大きな苦しみを伴う 「……宗太ぁ、良い事あるわよぉ」 「宗太殿……その……」 気を遣うな、武装神姫。 あれから俺はお守りを買い漁り、神社を後にした。 俺の心は清々しい青空のようにブルーだった。 「馬鹿宗太ぁ、まだ引き摺ってんのぉ?」 「パーシ、そっとしておいた方が良いのではないか……?」 シルフィは自分も小吉だったせいか、俺に友好的だ。だけど、その心遣いもちょっとキツイ。 「……加奈美、ここは何だ」 「ALChemistよ」 俺はこんな気分を払拭する為にも早く帰って寝たかった。 それなのに加奈美は俺を引き摺り回し、秋葉原の中心部に程近い無線会館とやらの地下二階に連れてきやがった。 看板やらを見る限り、一応武装神姫関係のショップのようだが。 「……俺は帰る」 「なんでよぉ、馬鹿宗太ぁ」 俺はこのショップからある気配を感じていた。 いや、正しくはこのショップと加奈美とシルフィとパーシからだ。 それは男にとって理解出来ない気配であり、出来れば帰りたくなる気配だ。 「い・い・か・ら、入りましょ?」 いつの間にか背後に回っていた加奈美に背中を押され、俺はALChemistの店内へと足を踏み入れてしまった。 その先は、一見喫茶店と見間違うような空間だった。 「あ、いらっしゃいませですの~」 俺の真正面、棚に並ぶ商品を整理していたのだろうか店員らしき人物が立っていた。 俺は思わずその姿に見とれていた。 蜂蜜色、そう形容するしかない三つ編みにされた綺麗で長い髪の毛。 その瞳は吸い込まれるような深い蒼色。 アクセサリーを身に付け、エプロンを身につけた彼女はとても俺と同じ人間とは思えないほどに美しかった。 それでいて彼女は絶世の美女、と言うよりも美少女と言った方がしっくりくる。 何分でも、何時間でも見惚れていたくなるような、そんな人だ。 「馬鹿宗太ぁ、なぁに鼻の下伸ばしてんのよぉ」 今日初めて秋葉原に来て良かったと思っていた至福の時をブチ壊したのは俺の耳を思いっきり引っ張った阿呆のパーシだった。 「? ゆっくり見て行ってくださいですの」 そう微笑みかけられて、俺は思わず目を逸らしてしまった。俺は餓鬼か。 「ふん。加奈美、こぉんな馬鹿ほっときましょぉ」 「そうね、これからは女の子の時間だものね」 「そぉ言う事だから宗太ぁ、お財布よろしくねぇ」 「……おい、どういうこった」 「だからぁ、私たへのお年玉よぉ」 「心配しないで、宗太。ちゃんと宗太が帰れる程度には残しておいて上げるから」 「あ、主よ。それは幾らなんでも……」 「心配する事無いわぁ、シルフィ。あの馬鹿は年末年始で相当稼いでるから10万20万は全然平気よぉ」 「俺の意見は無視か」 「いや、だがしかし……」 「大丈夫よシルフィ。宗太は優しいからきっと買ってくれるわ」 加奈美にそんな顔で見られると、断るわけにはいかねぇよ。 だけど、ただやられるだけじゃ腑に落ちない。 「……良いけどよ、30分以内に」 「馬鹿も正月は気前が良いわねぇ!」 パーシは俺の背中を蹴って加奈美の肩に飛び付いた。 俺が言い終わるよりも早く、3人は買い物を始めやがった。 もうこうなったら俺にはどうしようもない。30分時間が浪費されるのを待つだけだ。 「あら、これ可愛いわね」 「いいじゃなぁい、シルフィに似合いそうよぉ」 「い、いや。私にはとても……」 「そんなことないですの。きっとお似合いになるのですの♪」 「て、店員さん!?」 「でも貴女にだったらこっちも似合うと思いますの」 「本当、こっちの方が似合うわね」 「さっすがぁ、店員さんねぇ」 ……女は怖い。 怖い、っていうか凄い。 気持はわからないでもないけど、俺は買い物にここまで夢中になれない。 30分。たぶんあいつらにとっては短すぎるんだろうなぁ。 まぁ俺は店員さんを眺めているだけで良いんだけど。 「何か探しものか、客人よ」 美少女店員さんを眺めてたら、声がかかった。 雰囲気的びは店員さんだが、周囲を見渡しても小さな女の子しかいなかった。 「誰が小さな女の子かッ!」 黒髪を肩辺りで揃えた、小柄で非常に可愛らしい女の子は、その可愛らしさとは裏腹な言動と鋭い蹴りを俺に浴びせやがった。 「っ―――痛ぇ!」 俺の脛を正確に狙い澄まして放たれた蹴りは、滅茶苦茶痛い。 うずくまって脛を押さえていると、彼女が再び口を開いた。 「人の妹をいかがわしい目で見るかと思えば言う事はそれかッ!」 妹? 誰が? ここにいるのは俺と加奈美とシルフィとパーシと店員さんとこの幼女だけなのに? 「誰が幼女か、このたわけッ!」 うずくまっている俺に対し振るわれる右足。 顔面に当たり寸前に腕でガードしたけど痛い痛い。 この子、なんか格闘技でも習ってんのか? 「……少しは反省したか?」 軽く腕組みしながら俺を睨みつけてくるよう……じゃない、この子。 てか俺思考読まれてね? とりあえずうずくまったまんまだとヤバいから立ち上がる。 「OK、OK。お互い落ち着こう……」 両手を挙げてこちらに敵意と悪意が無い事をアピール。 だけど、彼女は鋭い目つきで俺を睨んだまんまだ。 大人しくしてれば人形みたいに可愛らしいんだがなぁ。 「ふん……最初に言っておく、私がこのALChemistの店長、槇野 晶だ」 店長? こんなちっさくて可愛らしい女の子が? 「っと待て、待って下さい、蹴らないで下さい……じゃあ、妹って言うのは?」 「無論、あそこに居る葵の事だ」 「……葵さん、ねぇ」 あの店員さん、葵さんっていうのか。 良い名前だなぁ……とか思ってたらまた危うく蹴りを入れられそうになった。 「うぉっ、あぶね!」 「貴様……また良からぬ事を考えておったな?」 やべぇ、この子。じゃねぇや晶さんは読心術でも会得してんのかよ。 迂闊な事考えられねぇじゃねぇか。 ―――そんなこんなで1時間後、俺は無事にレジで代金を支払っていた。 「毎度ありがとうございますの♪」 レシートを受け取ればそこには目を覆いたくなるような惨劇が。 「……帰るぞ」 「えぇ、帰って早速ファッションショーね。宗太のお家で」 「それが良いわぁ、加奈美。この馬鹿の部屋、今は大掃除直後だから珍しくキレイなのよぉ」 「二人とも、そろそろ宗太殿が怒られるぞ……」 何故か俺が荷物を持ちながら、店を後にした。 「またどうぞですの~」 最後に一度、葵さんの姿を目に焼きつけようと思ったけど、晶さんに蹴られそうだったから諦めたのは俺の心の中に締まっておこう。 トップへ 進む -
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…… この世に生を受けた「自分」の前に佇む人物。 「彼」は「自分」のオーナーなのだろうか。 「彼」はこちらを見据え、諭すような言い方でこう告げた。 「自分の持つ"可能性"を限界まで追及してくれ。…それだけだ」 「彼」はそれだけを告げると、静かに去って行った。 …薄暗い廃墟の中。 天井の裂け目から漏れ出る光を反射し輝く鏡の破片。 破片をのぞき込み、映し出された姿を見てすべてを理解した。 「可能性…か」 「自分」は、自らを映す破片を粉々に踏み砕いた。 ……… …… … 無頼19「ヒカルの夢」 途中経過は省略して、僕はメンテナンスショップに居る。 ヒカルの定期メンテの為だ。 「なんかいやだなぁ…、バラバラにされるんでしょ?」 「安心しろよ、そのままお陀仏なんて事はない筈だから」 「ハズは余計でしょ!?」 そんなカンジでいつも通りの会話が進む。 おっと、ようやく順番が回ってきたか。 「次はヒカルか…、どことなく簡単そうだ」 「長瀬さん…、なんか疲れ気味みたいですけどどうしたんですか?」 「どうしたもこうしたもないよ…、…アレのせい」 そういって指差したのは一枚のポスター。 『アオゾラ町神姫センター主催 武装神姫バトルロンド大会ウォードック杯、11/30開催』 …ああ、なるほど。 「大会に向けて定期メンテナンスを繰り上げて受ける人が多い、と言いたいんですね?」 「その通りだ。おかげで常時フル回転、久しぶりの休みもつぶれてしまったよ…」 そう言いうなだれる長瀬さん、他にいろいろあったのだろうか? 「まあ、色々あるのさ…。…一番終わるのが早いのは…ちょうどいい、メィーカーだ」 ……… 「ふぎゅう…」 フラフラになって出てきたメィーカー、任せて大丈夫かな? 「メィーカー、終わったばかりだが次のメンテだ」 「ご…5分だけ休ませて下さいぃ…」 そう言いバタッと倒れるメィーカー、人間だと過重労働で訴えられそうだ。 「あら、彩聞君も来ていたのですか?」 後ろから声、振り向けばそこに居たのは先輩。 「先輩もですか? メンテ」 「零牙のメンテが終わったので、引き取りに来たんです」 先輩の表情はどこか嬉しそうであった。もしかして何か企んでる? 「メィーカー、これ以上客を待たせるな」 「うう…わかりましたぁ…」 メィーカーが復活したので後は任せるとするか。 「ほらヒカル」 「んー…、そのまま帰らないでよ」 誰が帰るか。 手続きを終わらせ、そそくさとその場を離れる。 呼ばれるのは最低でも1時間後、それまで神姫ショップで買い物でもしてるか…。 ~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~・~・~・~ 「はい、ではスリープモードに入って下さい」 MMSサイズに仕切られた術式室、その中の一つがメィーカーの受け持ち区域である。 工具はすべてMMSと同規格のサイズであり、人間の職員が介入する場合は別の術式室が用意されている。 「顔見知りといっても、体をいじられるのはちょっとなぁ…」 「あら、彩聞さんと深い関係になってないんですか?」 「な…なにいってるですか!?」 顔を真っ赤にして目をむくヒカル。 「冗談ですよ」 クスリと笑いながら使用機器の最終チェックを終了させるメィーカー、いつでも開始可能である。 「ささっ、さっさと眠らないと強制的に落としますよ?」 「それは勘弁、………」 小さな電子音と共に、ヒカルはスリープモードに入った。 「ゆっくりしていってね!…じゃなくて、ゆっくりお休みなさい…」 そう言いつつ、早速分解を始めるメィーカーであった。鬼だ(爆) さて、ここからはヒカルの夢を覗く事にする。 何?犯罪だって?、ナレーションだから別にいいのだ。 ~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~・~・~・~ 「おっす形人」 「一深、何でここに居るのが判ったんだ?」 舞台は真昼間の公園、中央図書館のとなりにある大きな公園である。 「私がお姉さまの匂いを辿って来たのです!」 犬か、お前は。 「リック、女の子は…えっと…なんだっけ?」 「"エレガントに"だ」 しかしヒカルの中の人はリュミエールと同じではないのだった。 その時! 白い影が目の前を通り過ぎ、形人がいなくなっていた! そしてその影は一深たちの目の前に着地し、白いマントとフードを羽織った女性の姿をとった。 「な…誰だお前は!?」 目の前に佇む白いマント女を指さし一深が吠える。 「教えませんよ」 更に飛び上り、ついでに一深とリックを踏んづけて飛び去って行った。 「な、何なの一体…!?」 その場に残されたヒカルは憤慨するだけであった。…しかし! 「それどころじゃないや、早く追わないと…!」 ヒカルはそう言い、目の前の草むらに飛び込んだ。 …… 「…風よ!我の姿を覆い隠せ!」 一声と共に風が吹き荒れ、それは竜巻となってヒカルを覆い隠す。 異常気象甚だしいが、夢だから省略する。 スタッフ(杖)と小銃が合わさったようなものを掲げ、ヒカルは紡ぎだした。…呪文を。 「我が名と技を背に我は実行す。我はヒカル、超常なりし法と理の使いなり」 ちょっと待て、それはまかでみではないか。専用のものが浮かばなかったのか!? 「光よ、風よ。我を戦乙女へと変えよ!」 …もうちょっと捻れなかったのか…? 閃光と共に姿が一瞬で変わり、サイズが12/1…つまり人間大へと変わっていた。 その装束は"管理局の白い悪魔"を連想させる…というか、似過ぎである。 では、変身プロセスをもう一度見てみよう。 ~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~・~・~・~ 「風よ、光よ。我を戦乙女へと変えよ!」 彼女が秘める魔力は人間の1/12しかない。そのため魔力を装填した10mmカートを多数内蔵したスタッフ"フィリア・リスティック"を変身補助に使用する。 所定のワード(呪文)を唱える事によりカートが一つ消費され、その身体を一度分子分解し光と風を魔力で物質化したものを使い人間大に再構成する。 次に自らの魔力を使用し一糸纏わぬその姿を風の繊維に包みこむ。繊維は絡み合い、さらに防御魔法を織り込むことによって通常兵器はものともしない無敵の服と化す。 最後に光の分子が障壁魔法として服に模様をつける事によって、彼女の変身は完了する。 ちなみに補助が必要ゆえ、変身には約1秒掛かるのが難点である。 「待ってて!今助けるから!!」 スタッフを掲げ、颯爽と飛び立つヒカル。 …一深とリックは無視ですかそうですか。 …… 都市上空を音速の3倍もの速度で飛行するヒカル。 当然下の町は衝撃波で大惨事となっているが…夢なので割合する。 そんな彼女の視野に霧のようなものが入った。 それを拡大して見てみれば、はるか彼方に武装したNAKEDの大群が見えることであろう。 だが ずどぉぉん! 音速の3倍で飛んでいる以上、視界に入った時点で直に通り過ぎる。 あっさり突破された包囲網は、遅れて通過する衝撃波になぎ倒された。 …まあ、ご愁傷様ということで。 「見つけた!」 もはや追いついてしまうのはご都合主義だが、そこは夢。あきらめてもらいたい。 「君は何者なの!? なぜ形人を連れ去ったの?」 口調が変わっているが、コスチュームを替えることによる気分転換なのだろう。たぶん。 「もう追いついたのですか?ちょっとは苦戦してくれればいいのに…」 「その声はもしかして!?」 声に聞き覚えがあるのか、驚きを隠さないヒカル…いや。魔砲少女(キャノン・ガール)ヒカル。 「そう…双葉では在庫と罵られネタにされ、育児放棄の飲んだくれと言われ続ける屈辱…」 自虐か?それは自虐なのか? 「…じゃなくて!この作品の主人公の座をいただくためにさらったのですよ!」 そう言ってマントを脱ぎ捨てる女。 「やはり…アーンヴァル! …ていうかラスターだけじゃ不満!? 大体「アールとエルと」とか「双子神姫」とかその他もろもろで主役張りまくってるじゃないのアンタ! 私たち第五弾組以降は主役を張ってるSSなんてほとんどないのよ! ま・し・て・やエウクランテなんてこの神姫無頼と「スロウ・ライフ」の「武装神姫飛鳥ちゃんエウクランて」しかないのよ! 他はやられ役だったりその他大勢だったり脇役だったり…そもそも何で第二弾までが主役の大半をしめてるの!?もっと五弾以降の主役が増えてもいいと思うのよ私は!? それどころか私だって最近は零牙とジーナスたちに立場を盗られてるし…だぁーっもう!!ハラたつ!! ただでさえ影の薄い私から主人公の座を奪ったら何が残る!?、ただのへっぽこネボスケ鳥子にしかならないじゃないの!ていうか…」 「わかりました!形人さんを返しますからもう止めてください愚痴は!!」 ヒカルの"航空機関砲M61バルカン"な愚痴トークに完敗した白子、毎分4000発は伊達じゃない(違う) 白子が投げた赤い玉をキャッチするヒカル、中にはフィギュアサイズの形人。 「…ふぃぎゅ@メイト? まあいいや、これで心配する必要はなくなったし…悪は成敗しましょうか」 「か、返したのに許してくれないんですか!?」 ヒカルは白子をビシッと指さし 「かの偉人は言った!「悪人に人権はない!」ましては神姫には元から人権が無い! 覚悟しなさい…。」 ビビリがはいる白子の目には、しっかりと魔王モードになったヒカルの濁った目が映っていた。 「…頭、冷やしてあげるから」 「き、きぃゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」 「これが私の究極全壊ッ! ジェノサイド・ブラスター!!」 「虐殺」と名に入っちゃってる魔法(魔砲)を容赦なく白子にぶっぱなすヒカル。 まわれ右して逃げ出した白子は、跡形もなく消え去ったのだった。ムゴい…。 「………(汗)」 ログ整理を並行して行っていた長瀬は、この映像を見て唖然とした。 日頃の鬱憤を夢で発散していたのか…。 「…ふぅーむ、こりゃあ形人君に言っとくべきかな?」 ~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~・~・~・~ 「ヒカルの不満?」 形人は呼ばれた早々、長瀬にこう言う話を聞かされた。 「うん、どうやらかなり"溜まっている"な。メタフィクションになってしまうが、ヒカルは零牙やジーナスに主人公としての株を奪われている事を気にしているのがひとつ。次は主人公なのに成績が酷い事、最後は個性やインパクトが弱すぎる事。といったところかな」 噛み砕くように聞かせる長瀬。まあメタフィクションな内容だからだが。 「そんな事言われても、今更変えられませんよ。最終回だって近いのに…」 メタフィクションにはメタフィクションで返せと言わんばかりにのセリフを言う形人。もう本話はグダグダである。 「ならば今現状を納得させるのが一番だと思う、俺から言えるのはそれだけさ」 どうしようもない、企画段階からの設定に頭を抱える事になるとは…。 自分…第七スレの6は次回作に不安に感じつつ、本話を終わらせる事にする。 [強制終了] 流れ流れて神姫無頼に戻る トップページ
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第2幕「はるか遠くの始まり」 神姫には三つの心がある。そしてその心とは別に頭脳がある。心と頭脳を繋ぐのは、それらに情報を与える肉体である。 神姫にとってボディー、コアパーツ、そして三つのCSCは不可分であり、その三種のユニットが分断される事は機能停止を伴う。 そして一度停止に至った神姫は記憶、経験等が全てリセットされ、再びその個性を取り戻す事は無い。 たとえ全て同じパーツを使用したとしても。 ――心を司るCSC。 過去に記録を宿していながらも真っ白になったその心を、新たな肉体に埋め込まれた神姫は一体何を思うのだろうか。 結城セツナの新たな武装神姫、焔はそういう境遇にいる神姫である。 焔がセツナの元で目を覚ましてから約3週間が過ぎた。 例の事件の際にセツナを救ったとある少女からの連絡を受け、晴れてセツナは自由を再び満喫できるようになっていた。 久しぶりに登校した学校では定期考査が間近に迫っていたが、しかしそれでもセツナにとってそれはハンデにはならないらしい。 県内でもランクの高い私立の女子高においても、常に十位以内をキープする才女なのだから、今更試験のための勉強などしなくても日ごろの行いでこなせてしまう能力があるのだ。 そして現在、学校は試験休みに突入している。 その休みを利用し、焔とセツナはバトルを繰り返していた。 それこそ休む間を惜しんで。 原因は焔が言った我侭だった。 「この休みと冬期休暇の内に、私をセカンドまで押し上げて欲しいのです」 「何いきなり無茶な事を…… 焔、あなたはまだ起動したばかりでろくに経験も積んでいないのよ? そんな神姫が、特別な何かが無い限りセカンドランカーになれるわけ無いじゃない」 セツナは呆れたようにそれに答える。 確かに焔の発言はどう考えても無理があり、いくらオーナーに能力があろうとも経験のまるで無い神姫が短期間でそれを叶えるのは無茶な話だ。 それに対し焔は次のような提案をする。 「私に、海神の戦闘データを移植してください」 「ちょ……ちょっと待って。あなたは海神とは違うのよ。いくらあの娘の戦闘データを移植しても、あなたが効率よく戦えるわけじゃないわ」 確かに焔には海神と同じCSCが同じ配列で収められている。 しかしコアパーツとボディーが別物なのだから、その性質は海神とはまるで違う。 「そんなあなたが海神のデータを移植した所で、そのデータは邪魔になるだけかもしれないのよ? それに私は……」 「そんなことは承知です。でも……それでもワタシはそのデータが欲しいのです」 提案は何時しか懇願に代わっていた。 「ご主人、お願いします。ワタシはどうしてもそのデータを使い、セカンドランカーになりたいのです!」 焔にとって、それはどうしてもやらなくてはならない事だったからだ。 セカンドランカーになる、と言うのはあくまで言い訳に過ぎなかった。そう言えば、海神のデータを移植する十分な理由になると思ったのだ。 ならばなぜそこまで海神のデータに拘るのだろう。 「……ねぇ、なぜそんなにセカンドにこだわるの? そして何でそんなにあの娘のデータを欲しがるの?」 「――――」 焔はなにも言わない。 言いはしないが、その擬似的に創造された心で、思うことが確かにあった。 海神ⅡY.E.N.Nと言う名を冠するならば、ランクは兎も角戦闘データだけは海神のものを引き継ぎたい。 それは多分己が主人に対する意地と、そして後ろめたさから来るものだろう。 自分は海神という神姫の代替品だと言う思いが、心の最奥にひっそりと、だが確実に存在している。 ご主人が私のその役目を求めているなら、私はそれ以上の存在になろう。という意地もある。 なんにしても、まずは海神が居た位置に並ばなくてはならない。 そしてただ並ぶだけではなく、海神を内包し、更にそれを越えて己を表さなくては意味が無い。 ワタシが存在する、意味が無い。 チクリと胸が痛んだ。 「ふぅー…… 仕方、無いわね」 セツナは嘆息しうなだれながら小さく答えた。 そうしてセツナは、焔にどんな思惑があるのか聞けないままに、それでもその願いを叶えるべく行動を始める。 こんなやり方は、きっと正しくは無いのだろう。 自分が何を思っているかも告げず、ただ我を通すだけのやり方も。 それを突き通すために誰かの経験を横取りするようなやり方も。 それでも―― それでも海神ⅡY.E.N.Nという名でありながら、焔という名の一つの神姫であるために…… 「焔、次もいける?」 「大丈夫ですご主人。ワタシが望んだ事なんですから」 焔のその言葉に、セツナの表情がかすかに曇る。が、焔はその変化に気付けない。 セツナはすぐに表情を変える。 「それじゃ、頑張って、ね」 そのセツナの笑顔を見て、胸の奥にわずかな痛みを感じながら―― 「はい!」 焔は精一杯の笑顔で答えた。 スタートラインすら、まだはるかに遠くとも。 トップ / 戻る / 続く
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武装神姫のリン 第18話「アキバ博士登場」 今日は神姫バトルの公式戦の日。全国で一番神姫センターが賑う日。 そしてウチもそれの観戦に向かおうとしている。いちおう今日の大会からリンの出場停止期間(開発にかかわっていたためだ。)も終わりを告げたのだが、今回は花憐に生のバトルを見せようということになった。 リンもまだ感覚(セカンドで中盤以上になったために最近はリアルバトルが多めになってきている。)が花憐の世話やらで鈍るというかなんというか、まあ以前の100%の力を発揮することがまだ難しい。 そんな状態でバトルに出たとしても勝てる見込みは少ないし、またリンが傷つく所を花憐にはあまり見せたくない。 花憐も同じ武装神姫であってバトルについての知識はあるが、まずはホンモノを見て慣れさせていこうということになった。 で会場へはやっぱり公共機関が最適ということで今回は大きめ会場を目指す、その過程で"あの"秋葉原駅に来たわけだが… 「おとうさ~ん、人がいっぱいだよ~~」 俺の肩の上ではしゃぐ花憐が前方を指差す、たしかに人が多い。なんかイベントでもあったっけか?? 「マスター、アレを。」 花憐の横に座るリンがその右側の看板を指す。 「武装神姫第1弾のパワーアップユニットN-01,02入荷。本日分は300個限り。」 そういえば、アレの発売日だったっけな今日は。 見たところ並んでいるのは学生とか俺ぐらいの会社員だった。売れ行きは好調らしく、それをみたら安堵の息が漏れた。 「ああ。アレ発売したんだ~亮輔の血と汗の結晶だね。」 と茉莉も喜んでくれているらしい。 「もちろんですよ、茉莉。だってマスターが3ヶ月もひっきりなしにトライアルや改良にいそしんだ物です。」 「トライアルはリンの仕事だったろうに。普通に考えてリンの功績の方が大きいだろ?」 「そんな。マスターこそ~」 「いやいや、ここはやっぱりリンが…」 そのとき俺は気付いてしまった、俺の背中にささる視線、とても鋭く強いソレに。 ふと辺りを見回す。しかし人が多すぎてその視線の主がドコにいるのか判らなかった。 しかし数分でその視線は消えた。 そうして駅から歩くこと数分。ヨド○シアキバの最上階にある特別会場にたどり着いた。 ここで大会が行われる。予選は無論バーチャルだが準決勝以上は中央の特設リングで行われるため、この時点でもリングを囲む客席は空席がまばらな状態だった。なんとか2人分のスペースを見つけて場所取りを終える。 で茉莉、ティア、花憐に席を任せて俺とリンは飲み物を買いに席を離れる。 やっぱりさっき感じた視線が感じられる。そいつは明らかに俺、もしくはリンを狙っていると思えた。 心身は全く健康なのになんとなくいやな感じ、もしくは怖気とかそういうものを感じるのはたいてい見られてる時だと茉莉から聞いている。 まあアイツは高校時代、日々痴漢と戦っていたらしい。その茉莉が言うのだから間違いはないだろう。 でそろそろ戻ろうかと思ったとき、また気配が消えた。 そして自販機でも買い物を追えた俺は違和感に気付く。家を出るときは何も入れていないはずの上着のポケットに手紙らしきものが入っていた。 それを開く。 ~~ 午後13時までにBブロックナンバー12にエントリーしろ、そうでなければ家族の安全は保障できない。 また家族に参戦の理由を聞かれた場合もこの手紙の件は伏せること。その場合も安全の保障は無い。 なおエントリーする神姫は燐とする。それ以外は認めない。 T.A ~~ 見たところ脅迫されているみたいなんだが…午後13時ってなんだよ。 まあ午後1時か13時の間違いだろうとは思うが…しかし燐の装備は家においてあるわけで。 一応ココはヨド○シだ、神姫にパーツを買うことはできるが手入れが行き届いていないパーツでどれだけやれるか… と思案をめぐらせて見るがいい答えは出ない。 っと、リンが俺の耳を引っ張る。 「っつ、リン。なんだ?」 「マスター、あの人です。」 リンが指差した先にいるのは…小山。そう、茉莉の(元)先輩にして俺のライバル(思いっきりあっち側の一方通行だが)だ。 そいうえばアイツ、遂にセカンド昇格らしい。レオナ装備パターンも意外にも洗練されてきてるし。 手入れも俺並かそれ以上の丁寧さだと聞いている。 アイツなら…いや、アイツに頼むのだけは勘弁してほしいんだけど。背に腹は代えられなかった。 小山が人ごみに入った。あの中なら多少は声を出しても気付かれないだろう。幸いにもあの視線は感じない。 しかし遠くから監視してるかもしれないため、注意して小山の横に着き小さめの声で呼びかけた。 「おい、小山。」 「あっ、とう…」 スッと先に書いたメモを見せる。 『茉莉が危ない。力を貸してくれ。あまり大きい声は出すな。』 「おい、どういう…」 「なぜかわからんが脅迫されてる。試合に出ないと家族の保証は無いぞってな。で、装備を貸して欲しいんだ」 「なんで茉莉ちゃんに危険が迫るんだ。」 「理由がわかれば苦労はしない。だた俺かリンにそいつは何かあるんだろう、ここまでして試合に出させようとしてる。ご丁寧にブロックやナンバー指定でな。」 「最初から大会に出るために来たんじゃないのか?」 「ああ、今日は観戦目的だったんだ。けどこういうことになっちまった。下の階で新しく買うこともできるがチューニングするヒマがない。でレッグユニットだけでいい。貸して欲しいんだ。」 「……わかった。茉莉ちゃんのためだ。1式を喜んで貸そう。」 「ありがとうございます。このお礼は必ず。」 リンも俺の上着の影からスッと小山に頭を下げる。 「とりあえず今日の大会はキャンセルして、茉莉ちゃんのそばに居てやる。だから席の場所を」 小山と茉莉が2人きり(ま、ティアが居るから大丈夫だと思うけど…なんか癪だな。)になるのはいやだが今は頼れる人間が居ないのでしかたない。 「東スタンドのH-12番だ、あと茉莉には参戦の理由は会場をみたらウズウズしてきたらしいとか言ってくれ。真実を言ったらやばいかもしれない」 「OK、20分後にレオナを西トイレの奥から2番目の個室に待機させる。そこで受け取りを。」 「ほんとうにすまない。」 「いや、気にするな。茉莉ちゃんのためだからな。」 「じゃあ1度離れるぞ。」 「ああ、レオナ。」 「うん、ボクがんばるよ。」 そうして人の流れにそって別々の行動を取る。 オレはまず下の階に向かい、公式のストラーフ付属のリボルバーを1丁調達する。これぐらいなら残りの時間でも調整は可能だった。多少扱いがパイソンより難しい(というよりは銃身の長さの関係でバランスが違うのが違和感を生む)が燐は基本的に2丁拳銃使いだ。神姫の状態をいつもと同じに近づけてやるのが俺に出来る数少ないことだ。 その後にレオナから時刻どおりにストラーフの装備1式(ご主人様によって徹底的にメンテナンスされた特別版 レオナ談)を受け取って受付へ、さすがに登録カードはどんなサービスを受けるときも必要なので常に持っている。 そして手紙の指示どおりにBブロックのナンバー12へのエントリーが終った。あとは試合を待つだけだが…そこに小山が走ってきた。おい、見つかったらどうす…あ。 「藤堂亮輔!!」 装備を受けとったときにレオナから聞いていたことを思い出す。 「ご主人様が今茉莉さんと接触して"頼まれて貴方を探してる"。適当な時に接触してくるから適当に話しをあわせて、って」 タイミングが向こうもちとはいえ、俺も多少テンパってるらしい。 「なんだよ、小山。」 「いや~偶然茉莉ちゃんに会ってね。そしたらお前がリン君と共に失踪したと聞いたから探していたのさ。」 おい、そっちもいつもと口調が全然違うぞ。どこのお坊ちゃん系キャラだ。と突っ込みはナシ適当に話をあわせる 「…すまない、茉莉には会場を見てたら俺もリンもウズウズして、結局出場しちゃったって伝えてくれ。」 「お、おい! 伝えろって…」 「よろしく~」 そのまま走り去り、俺は演技を終えた。小山はいかにもそれらしくふんぞり返って帰っていく。 これで安全とはいえないけど、なにもしないよりはマシだと思えた。そうして燐の試合開始時間が近づいてくる。 そして約半年振りの燐の公式戦が始まった。 初戦の相手は関係なさそうだった、いつもと違う地域のために初見の相手だったがマスターが女の子だったので違うと思う。試合は燐の勝ち。なぜかレオナ向けにチューンしているはずのパーツが今の燐にはとてもフィットするらしい… 確かにほんの少しの調整は加えた(せいぜいビスの締め直しとか)がここまで合うとは思わなかった。 そのまま意外なほど順調に燐は準決勝へ…つまり中央の特設リングでの試合となる。 なんでだ、この大会はちゃんとセカンドレベル設定なのに簡単にココまで(今までと比べて)上がっていいものか?と思っていた。 しかしの理由も次の試合で明かされることになった。 即ち、あの手紙の主が次の相手だった… 「それではセカンドリーグのBブロック準決勝戦、第2試合。選手の入場です!!」 俺は反対側に立つ男…じゃない リングの脇にあるオーナー用の机…神姫の状態をモニターするディスプレイとサイドボードが設置されている、サイドボードに現地調達した武装を入れて、ディスプレイに掛けられていたインカムを装着して俺は向こう側の神姫のマスターを見る。 コートのように長い白衣を着込んだ、まさに博士だった。 ランクを見ると…ヤツの神姫であるヴァッフェバニーのコロン…兎型の標準アーマーが緑に着色されており、右手にソードオブガルガンチュアを持っている。バックパックにも標準のミニガン等がマウントされている。かなりバックパックが大きいがスラスターもあるみたいなのでバランス型と見るほうが良さそうだった…はリンより上位だった。その差は3桁に上る。 このランクならファーストでもある程度は闘えるレベルだろう。 コロンの鋭い眼光は俺…ではなくまっすぐにリンを見ている。 「エエエエェェェェクセレントォォォォォォ!! その黒い肢体、流れるような空色の髪、穏やかな中に確かに強い意志を秘めたる瞳、己のマスターを愛する心。ドレをとっても最高の芸術…実にすんばらしいぃ!!!!」 いきなり"博士"が叫びだした…アイツなんだ? 「おおっと!! アキバ博士の十八番の相手神姫品評が早速飛び出したぁ! しかし対戦相手の藤堂亮輔氏は事情が良くわかっていないようです!!」 実況の言うとおり全く事情の飲み込めない俺だったが、リンをなんか侮辱されたような、なんとも言えない不快感が胸の辺りにたまっているのを感じていた。これがアイツの十八番…プロレスとかの試合前の挑発とかと同じものか? 「さて、悪魔型のリンさん。この試合で貴女をボクのモノにしてあげるのであ~る。」 プッツン。基本的に温厚な俺でも切れた。 「うっせぇ!! 人の神姫を勝手にいやらしい目で見るな!! お前なんだろ?俺のこの大会に出るようにし向けたのは!!」 「ご名ィィ答ゥゥ!!! このアキバ博士、山田隆臣がであぁぁぁるぅ!もちろんキミの愛するリンさんを貰うためにぃぃぃね。」 「勝手に決めるんじゃねえ!こっちは頭にきてるんだ、あと手紙にかいてるイニシャルと本名違うぞ!!」 「はて…3時間も前のことなど覚えてないのである…見たところ家族云々を気にしてる様であるが、あれは全くのうそなのであ~~~る。」 …ここまでコケにされたことはさすがに人生を二十数年やってるが無かったぞ。これはもうアレか…アレなんだな。よし。 「あ、そうであった、リンさんが今まで闘っていたのは私の部下で、もちろんわざと負けるように仕向けていたのである。」 ………もう俺に言葉は要らない、アイツをにらみつけるだけでいい。そう思った。リンもさすがに怒ってるらしい。 「マスター、私どころかマスターをも侮辱しているあの態度…気に食わないです。」 「ああ、俺も同じだ。叩き潰してやろう。さあ行こうか、リン」 「はい、マスター!!」 空高くジャンプ。そのまま宙返りを決めてフィールドに立つ燐。これを見る限り燐は絶好調の様だ。 ブランクも取り戻せたのか、はたまた先ほどの挑発で微妙な緊張が切れたのか…それはどっちでも良かった。 燐の意志を確認し、次に俺は実況および司会に試合を早く開始するように伝えた。目線だけで。 「おっと、時間が押しているので早速試合開始です。 『黒衣の戦乙女』燐VS『緑の恐怖』コロン…試合開始です!!」 やっとのことで試合開始だ、俺は敵の位置を確認する…全く動いていない。それだけの自身があると見た。 そういえばアイツは曲がりなりにもこの地区で最強の部類に入る(セカンドリーグで)だろう、ランキングで3桁の差だから無理も無いのかもしれない、でも…燐はその間にべーオウルフとの戦いや強化パーツのトライアルのためのトレーニングを初め、公式戦に出られなかった半年間はバトルではないにしろさまざまな経験を積んでいる。だから本来の意味でランキング分の差が絶対的なモノでは無いと思っている、それは燐も同じだと思う。 そうでなければ、上位ランカー相手に一直線に迫っていくことは無いだろう。 ただ、俺とて燐の精神状態が完全に把握できているわけではない、だから指示を出しておく。 「燐、確かにむかつくヤツだが実力は折り紙つきだ、わかってるとは思うけど怒りのままに突っ込むな。冷静にだぞ。」 「わかっています、ただ相手を視認しない限り安心は出来ないので…」 「ああ、ギリギリの距離で止まってまずは適当にSRGRでもぶっ放してやれ。」 「はい。」 そうして燐は疾走する。フィールドは久々のゴーストタウン仕様。この会場はコロシアムフィールドを使わないことで有名でいつも何かしらの障害物が存在するフィールドが設置されている。で今回はそれがゴーストタウンだっただけのこと。 多少足場が悪いが今の燐には気にならない。なぜなら完全に足をつけるわけではなく、次々と小さなジャンプをする要領で走っているからである。事実燐の走った地面にはサブアームのヒールの形はつかず、一点の穴が存在するのみ。 燐はつま先のみを地面に接することで力の加わる範囲を小さくしてその力を全てジャンプ力に変える術を身に着けた。以前はどうしても地面と接する時間が多く、その分パワーのロスが起こっていたそうだ。 それゆえに、今の燐の速度は半年前の公式戦の時に比べ1.3倍になっている。 バサーカ装備の神姫としては最高レベルであり、スピードが持ち味のであることの多いセカンド以上のハウリンにもなんとか追いすがることが出来そうだった。 そいて遂に敵のコロンを目視できる距離になる、燐は走り幅跳びのように両足を前に投げ出して着地、ソレと同時にSRGRを発砲。 2発のグレネードランチャーがコロンに向かっていく。しかしそれは着弾することも無く、ソードオブガルガンチュアで叩き切られていた。 しかしそれでもコロンは動かなかった。 「挑発しているのですか?」 そう言って燐は一足でジャンプ。一気に距離を詰め、フルストゥ・グフロートゥで切りつける。 しかしことも無げにそれは受けられ、しかもそのまま押し返された。質量では明らかに燐の方が重い。そのはずなのにこうして力負けしていることが信じられない。 「燐、一度距離を取れ。」 自分でも力負けを感じていた燐はすぐにバックステップ。そのまま体操の競技のように後方に宙返りを行って後退する。 「…弱いですね。」 無機質な声、感情を押し殺している…漫画とか映画で見る暗殺者とかに似ている声を出してコロンは言う。 「まだこれからです!!」 そして燐は側にあったビルの残骸を蹴って加速。何回かの水平ジャンプでコロンの裏を取る。 「ハッ」 そしてセカンドアームで手刀を作って突き出して突っ込んだ。 「押しが弱いと言っている。」 またコロンに弾き返された。吹き飛ばされるということは無いがどうしても力負けしている…どういうことだ。 推測しているヒマも無く、すでにコロンはミニガンを構えていた。 「さあ、これを抜けられますか!!」 ミニガンからは通常弾では無く、散弾が発射される。 威力自体は弱いが重要な可動部に当たればそれで燐の最大の持ち味である機動性が失われてしまう、それはなんとしても避けないといけなかった。 「燐、大幅に後退。出来るだけ距離を置くんだ。」 「は…はい!!」 回避行動がギリギリで間に合って燐の素体や可動部のダメージはゼロだが、弾を受けるために前に突き出したセカンドアームの装甲には無数のヘコミが出来ていた。やはり威力は弱いようだが弾をばら撒かれると辛い。 いまはビルの物陰に身を潜めているが時間の問題だろう。 しかし俺は燐が物陰に待機するような状況をあまり経験したことが無い、どちらかというと相手が隠れることが多かった。やはり強い。 完全に燐の得意なクロスレンジに持ち込ませない上に、なんとかクロスレンジに持って行ってもパワー負けするのだ…負けはしないが埒が開かない。 「燐、やっぱりあっちの対策は完璧だな。しょうがない。サイドボードのアレを使うぞ。」 俺は苦肉の策として燐にアレを装備させることを決めた。 ~燐の19「覚醒」~
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第13話 「姫君」 『……子供(じゃねぇか)(ですね)』 確かに芸能界ですら滅多に見られない程の美形だが……あの背丈はどう見たって小学生以上だとは思えない。 あれを形容するなら『美女』ではなく『美少女』だ。 仕方ないのですっかり興奮しきった様子の白黒ミリオタチンパンジーに問い質すことにする。 「……まさかとは思うが、アレがお前の言ってた『武装神姫の流れ星』か?」 「ン何をいっとるかキサマぁ! ああいう人物を称える格言があることを知らんのか!?」 「格言?」 「ふふん、知らずば言って聞かせよう……古人曰く! 『ぅゎ ょぅι゛ょ っょぃ』 とな!」 「要するにお前はアレか、わざわざそんなクソッタレな寝言を聞かせるために俺を引っ張り出したと。 そう言いたいのか?」 ……こんな茶番と分かっていれば、昨夜あんなに悩みはしなかったものを。 「撃ちましょうか?」 「許す」 どぎゅーんちゅどーんうぎゃーと先日と同じ展開の中、不意に楽しげな声が割り込んだ。 「ふふっ。 そなたのまわりはあいかわらずドタバタとやかましいようじゃの、おおさわ」 舌っ足らずで高い声の持ち主は、言うまでもなく件の少女。 身に纏った純白のドレスは、服飾品の素材に疎い俺にも分かる高級品だ。 まるでそれ自体が光の加減で発光しているかのようで、どう見てもこんな場所に似つかわしいとは思えない。 しかし少女はそんな自分自身の異質さを気にした様子もなく、、自信に満ちた表情でこちらをじっと見据えていた。 ……が、俺が何も言わずにいるのを訝しんだか、形の良い眉が動いた。 「む? 今日わたしのあいてをしてくれるというのは、そなたたちではないのか?」 「えぇ、そうです。 ……多分」 なおも無言な俺の代わりにルーシーが答えると、八の字を描いていた眉はすぐに元に戻った。 「なんじゃ、人ちがいをしたかと思ったではないか。 おどろかすでない」 安堵したような愛らしい笑顔を見ながら、俺は『なんでこの子供はこんな喋り方なんだろうか』と考えていた。 「ムっはーぁッ! エリザベス姫、お久しうぅぅ!」 「せんしゅうも会っておいて『ひさしい』もなかろ」 グレネードツッコミのダメージもなんのその、頭から煙を噴きながら飛び起きて召使のように跪く大佐和と、その頭を手に持った扇子でぺしっとはたく少女。 「不詳この大佐和軍治、姫をエスコートするべく待機しておりましたが、出迎えに参ずる事叶わず大変失礼を!」 「よい、もとよりそなたにエスコートなどできるとは思っておらぬ。 気にやむな……というかよけいな気をまわすな」 ……なんなんだ、この本人たちだけが楽しそうなお姫様ごっこは。 俺とルーシーが顔を見合わせていると、ようやく俺たちの存在を思い出したらしい大佐和が立ち上がって紹介を始めた。 「さアぁ姫っ! こちらが先日お約束した対戦相手でゴざいますッ!」 「うむ、ごくろうじゃったの。 あらためて、わたしはエリザベス・寺舞(てらまい)。 今年で9さいになる。 今日はよろしくたのむ」 にこやかに笑う少女が手を差し出すのに、俺とルーシーも応じる。 「あー…あぁ、うん。 俺は藤丘遼平」 「遼平さんの神姫、ルーシーと申します」 俺、ルーシーの順で握手。 「おおさわの知り合いじゃというからいったいどんな『へんじん』かと思っておったが……」 うわぁすっげぇ不本意。 「ちょっと待ってくれお嬢ちゃん。 ひとつ言わせてもらうがな」 「わかっておる、なかなかの『しんし』とみた。 …すくなくとも」 すいっ、っと扇子で口元を隠し、半歩こちらへ歩み寄る。 「……アレよりはじょうしきがある」 隠した口元には、くすくすといたずらっぽい笑いが刻まれている。 間近で見ると……なるほど、これならギャラリーが増えるのも分かるっつーか。 「遼平さん、何考えてるんですか?」 「いーえぇ何にも」 なんだか不満げなルーシーの頭を撫でてやってると、ふと少女……エリザベスの表情が真顔になった。 「そなた、そっちの足は『ぎそく』じゃの。 長いのか?」 俺の目をまっすぐ見据え、はっきりと言ってきやがった。 「去年な」 「そうか」 短いやりとりで、俺とエリザベスは互いに黙した。 この態度、潔いと取るべきか遠慮がないと取るべきか。 だが子供ゆえの無邪気さからくる、興味本位の不躾な質問でなかったのは分かる。 9歳だと言ったが……なかなかどうして。 前話「相手」へ 『不良品』トップページへ 次話「制限」へ
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PSPの便利なフリーソフトの紹介! CWCheat にゃんとかチュ〜ブ++
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「ジェネシスちゃん、大丈夫っ!?」 「な……なんとかっ。振り落とされないようにするだけで精一杯ですが」 音速を突破し、周囲には音もなく戦場を駆け抜ける二人。 二人が通り過ぎた空間には、直後凄まじいソニックブームが巻き起こり、周囲に配置されていた不運な敵機が吹き飛ばされていく。 それは時間にすればほんの一瞬なのだけれど、激しいGに耐える二人には一瞬とも永遠とも思える時間の流れ。 そして正面に、巨大な電波塔のような建造物が見えてくる。 周囲に敵は今のところ見当たらない、どうやら主力の大半は3~4エリア周辺に配置していたみたいだ。 「あれです! あそこから突入しますので」 「……了解っ。加速解除!……きゃぁっ!?」 ジェネシスを投下するため加速を緩めた途端、塔の根元より複数の強烈な閃光がねここに襲い掛かる。 急速回避して直撃は避けたけど……明らかに今までとは違う精度だ。 「今のは……あいつなのっ!」 「あれは……ネオボードバイザー・ガンシンガー!」 塔の根元に佇む巨大な人影。 それはジェネシスが使用するリボルケインの原型機、ソードダンサーの姉妹機であるガンシンガー。 そして、その巨大なアーマードモジュールの装着者となっていたのが…… 「エスト!?」 ねここの飼い方・劇場版 ~十一章~ 塔より全周波に渡って通信が流されてくる。 その声はそれなりに若い男の声だ。だが声質は歪み、他者を憎しみ蔑む様な雰囲気を滲み出させている。 『どうかね、正義の味方気取りの愚かな武装神姫ども。 その正義気取りにお答えして最高の舞台を用意して差し上げたよ。 友人を打ち倒して世界を守る、か。それとも倒され朽ち果て、我等の手先になるか。お前たちの運命はそれだけだ。』 塔の前に佇むエスト。……いや、今はガンシンガーと言うべきだろう。 彼女の全身はブリガンディモードになったガンシンガーと一体化していた。 「エストちゃん、どうしちゃったの!?」 思わず叫ぶねここ、だが彼女は一切の反応を示さない。その目に輝きは鳴く、ただ命令に従うだけの殺人マシーンのような虚ろな目。 『彼女は思った以上に頑強だったがね、我等の技術力を持ってすれば不可能ではなかったよ。フフフ……無益な抵抗だったな。 ……そして、今は我等の忠実な番犬だ。精々楽しく遊ぶ事だな』 「そんなっ!?」 『嗚呼、忘れる所だった。彼女ごと破壊しても一向に構わんが、その場合全データが修復不能、ついでに本体側も自壊するようしておいた、まぁ精々頑張りたまえ』 男が言い終わると同時にエクセルビームライフル“ロンゴミニアド”を構え、連続して狙撃をしてくるエスト。 『ねここ急速回避!』 「やってるけど、でもっ!」 再び再加速を掛け火線から逃れる。しかしその射撃は正確かつ高出力で、直撃こそないけれど各部装甲がチリチリと悲鳴を上げ始めている。 それに、しがみ付いているだけのジェネシスへの負担が大きい。 『ねここはエストちゃんの相手を! ジェネシスはこのまま突入してください、急いで!』 「しかし、ねここだけではっ!」 「行って! ……何時までも背中に乗られてると……足手まといなのっ!」 ねここはそう断言。でもその目からはポロポロと涙が溢れ流れて…… 「わかりました……マスター、リボルケインを!」 『おぅ! やっちまえジェネシスっ』 シューティングスターよりダイブ、自由落下していくジェネシス。 やがて、彼方から飛来した戦闘機にタイミングをあわせ絶妙に着地。 「モードブリガンディ!」 ジェネシスが鋭く叫ぶ。同時にリボルケインが展開、ジェネシスを包み込むようにして装着。 白銀の帝王、爆誕! 『続いて行くぞ!』 「了解です……ツゥゥゥゥゥル!!コネクトォォォォォォ!!!」 リボルケインに続き彼方から飛来したマイナスドライバーを、天高く掲げた右腕に装備! 「ディバイディング!!ドライバァァァ!!!」 そのまま勢いを殺すことなく、いやそれどころか推力を全開にして塔の基部に特攻をかけるジェネシス。 「…若い…」 だがその突入位置を容易に予測したエストがチャージングチューブを接続したロンゴミニアドを構え、最大出力でジェネシスを撃ち砕かんと待ち構えていた。 特攻してくるジェネシスを悠々と待ち受け、その破壊の槍で粉砕せんとするエスト。 『ねここ!』 「そんなこと、させないのっ!」 ジェネシスを撃ち抜かんとするため、ねここへの砲撃は止まっていた。砲撃が停止した瞬間ねここは艦首を翻し、主砲のローエングリンを放つ。 目標はロンゴミニアド。だけど旋回中に発射したビームは目標を外れ、エストの足元へ着弾。 「死ね」 「おりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」 フル出力の一撃は直撃コースを外れ、虚しいエネルギーの浪費と終わる。地面を抉ったビームはエストの足場を切り崩し、それが運良く照準を狂わせたのだ。その隙にジェネシスは電脳空間を切り裂き、中心部へとダイブを敢行する。 『ち、追えエスト……Gを八つ裂きにしてしまえ』 「は……」 まだ開いたままのゲートへ突入せんとするエスト。だが、その寸前、側面からの一撃にエストは大きく吹き飛ばされる。 ねここが加速をかけて体当たりをかけたのだ。シューティングスターの推力に物を云わせた強引で強烈な突進。 そのままゲートの前に立ちはだかり、ファイティングポーズを取る。 やがて吹き飛ばされたエストもゆっくりと立ち上がる。重装甲で全身を覆ったエストにダメージは感じられない。 出力と装甲が違いすぎる。だけど…… 「絶対に……ここは通さないんだからっ!」 『どうだジェネシス、中核反応はあったか?』 「はい……キャッチしました。あと50」 一方ジェネシスは制御プログラムの階層まで潜り込んでいた。 やがて彼女の前に姿を現す、空中に浮かぶ巨大な金属球。神姫よりもそのサイズは遥かに大きい。 「……あれですね、一気に行きます!」 ジェネシスが全身に内装された砲門を展開する。Gのキャノンが、両腕のビームユニットが、腰のヴェスバーが。 そして周囲には残存していたドラグーンが。全砲門が目標である金属球へと照準を合わせられる。 その時、金属球に赤いラインが浮かびあがる。それは金属球に目の様な模様を書き上げ、同時に内部より何本かの細長い円柱状のフレキシブルアームがせり出してくる。 「な!?」 ジェネシスがその変化にひるんだ瞬間、アームの先端より放たれる多数のリングレーザー。 ブリガンディモードでは小回りに欠けるため、大きく回避半径を取らざるを得ない。攻撃態勢を解除してスラスターで回避行動を取る。 更に追撃のつもりか、目に相当する部分から極太の拡散レーザーを発射。 ジェネシスはリボルケインを巡航形態にチェンジさせて一旦後退、間合いを取る。 『……ありゃタングラムか。自衛プログラムとして、HOSの暴走起動用プログラムに融合させてやがる』 「逆に言えば、アレにワクチンを撃ち込めばこの事態を収拾出来るわけですね」 『そうなるな……よし、全力でぶちかましてやれ!』 「はいっ! モードブリガンディ!」 全推進系を全開にし、超高速で突撃。咆哮と共に再び鎧を纏い、悪を断つ剣と共にタングラムへと突き抜けてゆく。 それを迎撃するように、タングラムの目からは極太の収束レーザーが射出される。だがそれをエクスカリバーで歪め切り裂きながら突撃するジェネシス、そして。 「必殺!リボルクラッシュ!」 雷光一閃! 彼女の鮮やかな一撃は、巨大なタングラムを完全に真っ二つに分断させた。そのままデータの藻屑となって崩壊していくかに見えたタングラム。 だが… 「そんな、復活した!?」 ジェネシスの叫びが木霊する。一瞬崩壊していくかに見えたタングラムは損傷部分を修復、直ぐに元の状態へと復元を果たしてしまった。 「アイツは無敵なんですかマスター!?」 『ちょっと待て、今のでデータが取れた。……何処からか修復プログラムが流入して復元されたらしいな。流入元はこの近辺じゃない……ルート検索。……いた。補修プログラムを持ってるのは…ガンシンガー!』 『……という訳で、アイツを倒さないとワクチンが投与出来ないみたい。ねここ……お願いっ』 『しかも厄介な事に同時にだ、片方だけ破壊しても互いに補完しあうらしくってな。ジェネシスの方は準備万端……あとは其方次第だ』 「な……なんとかやってみるのっ!」 そうは答えてくれるものの、戦況は悪い。 元々ネオボードバイザーと武装神姫では出力と装甲に雲泥の差がある。 出力に物を云わせ総計5門のビーム砲を連射、尚且つエストの高い処理能力によってその射線は正確無比。 ねここもイリュージョンシステムで撹乱を行うものの、砲撃ではエスト諸共吹き飛ばしかねないので迂闊に攻撃が出来ない。 『何か手段があるはず……何か』 ガンシンガーのデータを手元のコンソールに呼び出し、機体特性を調べ上げる。 変形システムを搭載してる機体は大抵の場合各種機構が複雑になり、脆い部分が存在しやすくなる。その辺りに突破口がないだろうか。 だがこの機体は全身に渡ってフレームが走ってる上に、素体と合体することにより負荷の分散を図ってる。 太腿部分は露出してる。しかしエストに一部でも傷を付けた場合どんな悪影響が出るかわからないので、迂闊に脚部を切断するわけにも…… アーマーの配置状況はどうだろう。脚部、腕部…胸部、これなら…いけるかもっ。 『ねここ、今から送る戦術を試してっ!』 「あいあいさー☆」 ねここにも私の気持ちが伝わったのか、急に陽気な声になる。 シューティングスターを背負ったまま、軽やかに幻惑のダンスを踊る。背中に重量級の物体を背負っているとは思えない身軽さ。 ガンシンガーの周囲に出現し続ける無数のねここ。それに対して全身の火器で片っ端から撃ち落してゆくガンシンガー。 だけど全て素通り、ホログラフが虚しく拡散するだけ。何故ならねここは…… 「こっちだよっ!」 遥か上空、相手の真上から急降下を掛ける! 同時に両舷のローエングリン砲口部からビーム刃を展開。それはライフルの全長に匹敵し、サーベルというより長大な騎兵槍とでも言うべきシロモノ。 中世の騎兵のように、いや其れとは桁違いのスピードを以って空間を駆け抜ける流星。 『馬鹿め、一撃で撃ち落してやれエスト!……どうした、おぃ! 早くしろ!』 それは偶然、いや彼女の意思の力による必然か。ほんの僅かに、だけど確実に動きの鈍るガンシンガー。 「……せ……ぃ、さ…せませんっ!」 うっすらと瞳に生気の戻ったエスト。だけど彼女は覚悟を決めた様に瞳を閉じ 「私……もろとも……」 閃光となって迫ってくるねここ対し遺言のように呟く。 「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 ずぶりという音がしそうな程、易々とガンシンガーの左右胸部上面に深く突き刺さるビームランサー。 それはガンシンガーの装甲部分のみを貫く様に…… 唯一の支えが外れ、剥がれ落ちる胸部装甲。同時に装甲の支えを失ったエストの身体もグラリと崩れ落ち始め……そこを両腕でキャッチ、そのままガンシンガー本体より引き抜いて一気に離脱するねここ。 ガンシンガーの胸部装甲はポンチョのように上から被せる方式、だから上面装甲を切り離せばそのまま引き抜けると思ったのだ。それは大成功。 そして急旋回し、抜け殻だけになったガンシンガーへ再び槍先を向ける。 『ねここ、フィニッシュ!』 「了解なのっ、ねここブースタァー!!!」 最大加速して正面から突っ込む! ガンシンガーからは無数のビームが放たれるものの、先ほどまでの正確無比な射撃とは無縁の素人以下の乱射程度だ。 激突寸前、自らを切り離し急速離脱するねここ。 先程までねここがいた場所には、背部に装着されていた旋牙が前方配置され唸りを上げて回転している! 「ゴー!!!」 『なんだとぉぉぉぉぉぉ!?だからドリルは取れと言ったのだぁぁぁ!!!』 ガンシンガーの各部に深く食い込み、抉り、そして突き抜けるシューティングスター。さしもの重装甲も全推力を背に受けた旋牙とビームランサーの破壊力には無力だった。 そして突き抜けたシューティングスターが旋回、そのまま天頂から最早残骸となったガンシンガーへと最後の突撃を掛ける。 修復される可能性がある限り完璧に破壊しなければいけない。 「……ごめんねっ!」 同時刻 ウイング内に仕込まれたGのキャノン、両腕のビームユニット、腰のヴェスバー。そして周囲のドラグーン。 全砲門を、既に戦闘力を無力化させ瀕死のタングラムへと向け、射撃体勢を取っていたGが咆哮する! 「この力……今こそ解放の時!」 二つの場所で同時に発生する閃光、それはこの戦いの終焉の鐘を鳴らすかのよう…… ~終局~ 「ホストコンピュータ、完全に乗っ取られました! 制御…不能!」 「電源落ちません! 主動力室ごと止めないと無理ですっ」 制御室にオペレーターたちの報告、いや悲鳴が響き渡る。無益と知りつつも全力で対処しようとする人々。 やがて、ドサリと背後で何かが崩れる音がする。 「そんな……馬鹿な……」 つい先程まで絶対の自信を漲らせ指揮を執り続けていた、彼らのリーダー格の男。 ソレが椅子に崩れ落ちたのだ。 「脱出しましょう教授! 乗っ取りによってこちらの場所が判明したとしても確保した足止め用の神姫どもがいます。ヤツらを盾にすれば十分時間は稼げます。今のうちに……」 傍らにいた若い男がそう助言する、だが…… 「残念でしたね、皆々様♪」 後背のドアが突然無礼に開き、逆光と共に一人の少女が現れる。 「な…貴様何処から!? いやそれ以前に警備は何をしている!?」 責任を擦り付けたいのだろうか、誰に向かってかも判らない怒号で叫ぶ男。 「何処って……此処のドアからに決まってますでしょう。それと、暴走神姫たちも残さず返して頂きましたよ」 挑発的な瞳で切り返す少女。 「そんな筈はあるか! 何百いたと思ってるんだ!? おい、やっちまぇ!」 傍らで立ち尽していた警備用のアムドライバーに命令、いや嗾ける。 彼らには対人攻撃防止プログラムはない、少女を有機物の塊にせんと一斉に飛び掛ってゆく。 「ふん、遅いね」 次の瞬間、間接部を綺麗に切り裂かれボトボトと床に落下していくアムドライバーたち。 少女の前に、天使と見紛うばかりの-翼-シルエットを持った武装神姫が浮遊していた。 「ありがとマルコ。助かるわ」 「何言ってるんです、わざわざ挑発なんかして。万が一だってあるですからね」 まるでピクニックにでも行くような調子で会話をする二人。 その隙に反対側のドアから脱出しようと、何人かの男が慌てふためきながらも駆け出す。 「全員動くな!」 発砲音の後、反対側のドアが倒れる。誰かがドアの接合部分をショットガンのような物で破壊したのだ。無論その誰かはすぐ判明する。 倒れたドアの向こうには今しがた拘束命令を飛ばしたアーンヴァル型の神姫と、数十体に及ぶヴァッフェバニー型が銃器を構えて殺到していた。 驚き倒れた男の一人が、混乱しつつも懐から拳銃を取り出し神姫を撃ち抜こうとする。 だがそれは無益だった。銃を突きつけた時点で銃身がドロドロに誘拐してしまったのだ。 それはアーンヴァルが放ったレーザーライフルの一撃。彼女らもまた対人用として殺傷力のある武装を装備していたのだ。 「それ以上抵抗すると……痛い目みますよ?」 敗北を悟る男たち。全員が力なくその場へと項垂れた。 「あれ……私何やってるんだっけ」 「ボクなんでこんな格好してるんだろ?」 ワクチンの効果は直ぐに現れ始めていた。 それまで暴走し、獲物を求め彷徨っていた神姫は次々に正気に戻っていく。 満身創痍の十兵衛とリン。 それを延々と包囲し続けていたホイホイ軍団も、乗っ取り成功により消滅。 二人の目の前でキラキラとポリゴン粒子に変換され消えてゆく。 「……勝利……か…」 「みたいです…ね。つ…つかれましたぁ」 へにょりと背中合わせでその場にへたり込む二人。でもその表情は達成感に満ち溢れていて。 「終わったみたいですね、よかった……二人は無事でしょうか」 気の抜けた表情で溜息混じりに呟く雪乃。 「大丈夫ですよ。貴方が信じてあげなくてどうするんです」 今度は自分の番だな、と雪乃を励ましにかかるココ。 「そうですね……」 「おーぃ、ユキにゃ~ん♪ ココちゃ~ぁん☆」 彼方から聞こえるねここの声。 二人が声の方を見合わせる。そこには夕日をバックにジェネシスのリボルケインに乗り彼女たちの下へやってくる、ねここ、ジェニー、エストの姿が。 「ねここーっ♪」 思わず手を振りながら飛び出してゆく雪乃。 「ユキにゃんっ☆」 嬉しさのあまり、リボルケインから思わず飛び降りダイブ! 「わ…っ、よ・・・っと。……ふぅ、危ないですよねここ」 「ユキにゃん、ナイスキャッチなの☆」 「……おかえりなさい、ねここ」 「うんっ、ただいまっ♪」 そこには何時もの、見る者全てを幸せな気持ちにさせてくれる、満面の笑みを溢すねここがいたのでした。 Fin~ 続く